待ちに待った父と息子との旅。ところが待てど暮らせど息子は現れません...

寂しいとは決して口に出さない父親と現実にもがく息子。二人が共に過ごした失われた時が水のように流れ出し、どこまでも続く波が心を掻き立て騒がせます。

動見体（M.O.V.E. Theatre）の中心を担うアーティスト王靖惇が脚本・演出を担当。舞台の重鎮、俳優の羅北安とともに心打つ親子愛の詩を熱演します。舞台の巨大な透明の箱には、父と息子の二人が分かれて入り、沈黙とモノローグの間に一片の出会いを見出し、王靖惇自身のとても私的な家族愛への体験と悟りは、観客を現代社会における家族間が疎遠であり緊密でもあるという微妙な関係性への探究へと導きます。

2006年創立。舞台演出家の符宏征が芸術監督を務める。舞台、音楽、ダンス出身の林桂如、董怡芬、王靖惇がコアアーティストとして「動き・観察・実験」を舞台における身体美学を創作のベースとし、総合芸術の実践を芸術的ビジョンとする。創作作品を観客と共有することで、観客との間で共通の視線が交換、拡大され、変容する。作品では詩的な舞台言語を用い現代人の精神性を探り明らかにしていく。作品テーマは文学、神話、歴史、社会など多岐にわたり、さまざまな現代アーティストとの領域横断的な実験的創作も行う。