台湾中部のとある「開台聖王廟」を管理する自称鄭成功の末裔、鄭萬里は、廟の取り壊しを余儀なくされたたため、台湾中の注目を集める大型の国姓芸術祭を開催し、鄭成功を主役とした音楽ダンスショーを上演することにしました。すると思いがけないことに、銀行のファイナンシャルプランナーだと嘘をついている、実は大学の演劇科を出て現在は劇団に所属している息子の鄭馬豪が帰ってきます。馬豪はショーを演出して自分の力を証明し、父親に認められたいと思います。叔父の陳泰郎も村中を扇動して馬豪を応援します。しかし、そりの合わないこの父子は、準備の段階から衝突の連続でした…。芸術祭を目前に控え、父子のわだかまりと衝突は、舞台上での鄭芝龍・鄭成功父子の愛憎が熾烈になるに従い激化していきます。果たして、彼らは「成功」を収めることができるのでしょうか。

「嚎哮排演」が台湾語によるラップ・ミュージカルに初挑戦！『別叫我成功：芸術界帰来的児子』（成功の物語：放蕩息子が帰ってきた）は、面白いストーリー、題材のスケールに制限を設けない、という劇団のこだわりを堅持し、伝説の人物、鄭成功にインスピレーションを得、地元の廟やヤクザ、芸能界の舞台裏といった要素を組み合わせ、新世代のミュージカル作詞・作曲家の張清彦を招き、得意とするヒップホップ、R&Bなど曲に取り入れています。作品の台湾語によるラップを、成功を求めるこの土地の全ての人びとに捧げます。

共同創作者・俳優／蕭東意（シャオ・トンイー）
国立台北芸術大学大学院劇場芸術創作科表演組卒業。「嚎哮排演」の芸術監督。劇団のすべての作品に出演しているほか、近年はシェイクスピアズ・ワイルドシスター. ズ・グループ （莎士比亞的妹妹們的劇団）の『百年孤寂（百年の孤独）』、創作社の『＃』、新人新視野の『夢遺（夢精）』、仁信合作社の『客制不住』、創劇団の『日常之歌』、瘋戲楽の『搖滾芭比』（ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ）などに出演。テレビドラマでは客家テレビの『落日』、三立テレビの『我租了一個情人（借り恋）』などに出演している。

共同創作者・俳優／黄建豪（ホアン・ジエンハオ）
国立中山大学劇場芸術科、国立台北芸術大学大学院劇場創作科表演組卒業。台中新民高校表現芸術科教師。「嚎哮排演」の団長。劇団のすべての作品に出演しているほか、2017年には高雄春天芸術節の『噓！安静』に出演し、演技指導も担当。同年、摺子劇団の『死刑犯的最後一天』、2005年の台南人劇団の『K24』初演版、2015年再演の『K24十周年紀念版』にも出演。テレビドラマでは三立テレビの『好想談恋愛（ビー・ウィズ・ユー）』に出演。

脚本・作詞／王健任（ワン・ジエンレン）
台北芸術大学大学院芸術創作科劇創組卒業。「狼鯨鶴編劇工作室」責任者、「嚎哮排演」所属脚本家。演劇、映像作品などの脚本を手掛け、ブラックユーモアの効いた作品を得意とする。盜火劇団、台南人劇団、貪食徳工作室、C MUSICAL、不可無料劇場などの劇団の作品も手掛けており、近年の演劇作品には嚎哮排演の『春風得意樓』、不可無料劇場の『一個公務員的誕生』、盜火劇団の『哨船街漂流回憶録』、阮劇団劇本農場の『那棟鬧鬼的透天厝』、貪食徳工作室の『陰間条例x冥戦録（Hades×Apocarypse）』などがある。

作曲・編曲・作詞／張清彦（ザン・チンイエン）

バークレー音楽学院ミュージカルシアター科修士。ニューヨーク市立大学ブルックリン校大学院メディアスコアリング科卒業。「唱歌集」所属の作曲家で、フリーのミュージシャン。ミュージカル音楽やポップスの作詞作曲を多く手がけ、ヒップホップ調の曲を得意とする。近年の参加作品に唱歌集の『今晚、我想来点』、『魔神候補生』、『大家都想做音楽劇！』、天馬戲の『脚不落地的孩子』、『誰偷了我的、超能力！』、刺点創作工坊の『杰哥不要！』、衛武営国家文化芸術センターのチャイルドフェス『花露露』のテーマ曲などがある。

嚎哮排演（HaoxHsiao Troupe）

黄建豪と蕭東意の二人によって2011年に設立された劇団。「笑えるストーリーで面白い芝居を」「題材のスケールに制限を設けない」「劇場だけを創作のフィールドにしない」という３大原則のもと、劇場、オンライン、テレビなど様々な分野で非常に多くの作品を発表し続けており、台湾のトップをいくコメディ劇団（自称）。作品には「嚎哮式」とも呼ばれる独特のテイストがあり、型にはまらない、即興的な演出が「嚎哮排演」の魅力である。

近年の作品には、オリジナル喜劇『即刻相親』、『兇宅』シリーズや、フランスの『Waiting For Godot』に着想を得た『太空救援：果頭計畫』、英国の『ダム・ウェイター』に着想を得た『啞侍改了一改再改』などの欧米のミュージカル作品からインスピレーションを得た作品がある。