6年ぶりとなる清宮戯三部作の完結編『夢紅楼・乾隆と和珅』が新たな装いで再び舞台に登場します。

国光劇団芸術監督の王安祈と脚本家の林建華は、乾隆の晩年を背景に、18世紀中後期における清朝の盛衰、その決定的な転換点を綿密に描きました。乾隆帝と和珅、二人の間の微妙な権力と信頼の駆け引きは、帝国の運命の縮図であると同時に、人間性と歴史の矛盾をも浮き彫りにします。和珅を単なる汚職官僚として描いてきた従来のイメージとは異なり、本作は、和珅の博学多才で多面的な人柄を深く掘り下げ、乾隆帝が和珅に抱く複雑な共感と政治的思惑を描き出します。

『紅楼夢』は乾隆年間に書かれた作品です。劇中では王熙鳳と秦可卿の視点を通して、乾隆朝の興亡と軌を一にする、栄華を極めた後に衰退していく一族の悲劇を映し出します。「多宝格」は人間の欲望を象徴し、君臣が互いを庇い合うという親密な関係性を描いています。そして、栄国府と寧国府が衰退していく様は、乾隆帝晩年の清朝の衰退を暗示しています。

京劇のスター、唐文華と温宇航が主演を務め、戴君芳が演出を手掛け、伝統と現代性を兼ね備えた視聴覚の饗宴を創り出します。国光劇団は、京劇と昆劇の美学が示す「未来の形」を通じて、伝統芸術は現代において新たな形で生まれ変わり、深く解釈されていることをお見せします。

プロデューサー・団長／張育華（チャン・ユーフア）
国立中央大学中国文学研究所（大学院）戲曲コース博士。2015年、国光劇団団長に就任。京崑芸術の遺産伝承を基本に、台湾独自の美学スタイルの構築に積極的に取り組み、新世代への才能継承を促進。絶えずプログラム制作や上演、観客管理戦略を刷新する中で、多様な観客が劇場に足を運ぶよう尽力している。

芸術監督／王安祈（ワン・アンチ―）
第9回国家文芸賞受賞。国立台湾大学文学博士。元国立台湾大学講座教授。台湾大学名誉教授。学術研究においては、国科会傑出賞や台湾大学胡適学術講座などの栄誉を受けている。2002年より国光劇団芸術監督。

演出／戴君芳（ダイ・ジュンファン）
国光劇団演出家。2017年5月、国光劇団に入団。『天上人間李後主』、『費特兒』、『夢紅楼・乾隆と和珅』、『狐仙』、『極西之地有個費特兒』、『優伶天子』など、数々の作品の演出を手掛ける。台新芸術賞や伝芸金曲賞にたびたびノミネートされ、『乱紅』では台新芸術賞審査員特別賞を受賞した。

脚本／林建華 （リン・ジエンフア）
国立芸術学院（現、台北芸術大学）戲劇学科芸術修士、創作専攻。現在は国光劇団助理研究員を務める。教育部文芸創作賞、客家委員会客家伝統戯曲脚本創作賞、第59回中国文芸賞（戯劇類戯曲創作賞）などを受賞。