これは単なるおとぎ話の世界の冒険ではなく
誰もが知っている日常生活で起こった奇妙な旅です……

ドイツの作曲家フンパーディンクによるオペラ「ヘンゼルとグレーテル」は、19世紀末に初演され、センセーショナルな成功を収めました。 作曲家マーラーも絶賛する大作で、今日でもオペラハウスにおいて青少年向けの「入門オペラ」として定期的に上演されています。穏やかで優しいメロディはいつまでも記憶に残り、深みのある曲調は感動的で、劇中の歌の多くはヨーロッパで誰もが知る童謡となり、今日まで歌い継がれています。

この夏、歌劇院では、現代的な視点から新たな「ヘンゼルとグレーテル」をお届けします。 演出はマルチディシプリナリーアーティストのボールボス（Ballboss）が担当し、二管編成のオーケストラで上演されるこの作品は、シーンを現代に置き換え、おとぎ話と現実生活とのギャップを巧みに縮めます。物語は、ヘンゼルとグレーテルの家族の日常を描きます。両親は「貧乏」をなんとかしようと忙しく、両親の愛を感じたいと切望する子供たちの心の内をないがしろにしています。ある日、2人は見慣れた、でも超現実的な森に入りこんでしまい、魔女が仕掛けた砂糖の罠から逃れようとする道中、たがいを思い合う家族は、家に帰るための不思議で意味深い旅に出ることになります。暑い夏、ウキウキする子供らしさにあふれるメロディを聞きながら、現代社会で見失ってしまったお互いへの愛を取り戻す旅に出かけましょう。

指揮／楊書涵

在独、若手台湾人指揮者。2017年、ポーランドで開催された第10回フィテルベルク国際指揮者コンクール優勝。ドイツ・ベルリンのハンス・アイスラー音楽大学修士。国家交響楽団、台北市立国楽団、ポーランド国立放送交響楽団、ハンガリー放送交響楽団、ワルシャワ交響楽団等の客演指揮者を歴任。2018年、指揮者エトヴェシュ・ペーテルが立ち上げた指揮者養成プロジェクトの若手指揮者に選出。2016年以降、台湾で定期的に公演を行っている。

演出／ボールボス（Ballboss）

イラストレーター、舞台演出家、マルチディシプリナリーアーティスト。絵本、舞台、クリエイティブトレンドや分野横断的な創作作品を多く制作。台中の「勤美誠品綠園道」とのコラボで大型環境劇場「薛仁粿征東」を制作。また、台湾国楽団や香港中楽団の公演を数多く演出。「Ballboss & Stories」として、2016-17年の２回にわたり文化部の年度文創之星を受賞。2019年にはイタリアのボローニャ・イラストレーション・コンクールに入選。2020年には台湾総統府常設展に作品を出品。