雲門舞集 鄭宗龍『サウンディング・ライト』

芸術監督の鄭宗龍は林強に空気のような音の空間の創作を依頼。在米の作曲家、張玹がダンサーに合わせ曲をアレンジし、音とダンサーの身体を重ね合わせることで共鳴を生み出します。衣装デザインは陳劭彦が担当。自然を取り入れた衣装がダンスの動きに合わせて奏でます。すっきりとした舞台はまぶしいほど明るく暗闇は感じられません。

振付け・構想／鄭宗龍 
2020年、雲門舞集（クラウド・ゲイト）の芸術監督に就任。台北の艋舺（万華）に生まれた鄭が子供の頃、露天で客を呼び込みながら物を売っていたときのことに創作のヒントを得た作品には、街にみなぎる活力やさまざまな人生が織り込まれている。ドイツのNo Ballet現代舞踊振付コンテスト3位、スペインの国際現代舞踊祭MASDANZA 振付けコンテストで優勝。

2016年制作の『十三声』は、台湾に古くからある庶民的な文化を題材にしたもので、2020年には13週間かけて欧米の17都市で40公演を行い、フランスメディアから「眼を見張るような成功だ」と称賛された。

2019年、国家表演芸術中心三館との共同製作作品『毛月亮』は、「人文、科学技術、現代、未来を結合した」作品だと好評を得、国際的なダンスレビュー専門サイトSeeing Danceは、「荒々しくも美しい」と称した。世界各国の劇場及び芸術祭から招待を受け、2020年から2022年にかけて世界巡回公演が予定されている。

音楽／林強 
彰化出身。シンガーソングライターとして音楽活動を始め、その後、DJとなる。侯孝賢監督に勧められ『南国再見，南国（邦題：憂鬱な楽園）』で映画音楽の道に進む。短編映画、CM、アニメーション、ドキュメンタリーに音楽をつける。2004年からは様々な分野のアーティストとのコラボレーションを行い、電子音楽の特徴や台湾の要素をどんどん取り入れながら、常に実験的で環境音楽の創作を試し、模索している。林強が振付家の鄭宗龍のために創作した 『十三聲』(2016)、『大明』(2017)、『乘法』(2019)の音楽は、その独特の音楽性が作品に一味違った味わいを与えている。

サウンド＆ボーカルデザイン／張玹 
1989年、台北生まれ。フランスの音楽評論誌「Classic Agenda」で「ソウルフル」と称賛される。カーネギーホール、リンカーン・センター、シカゴ・シンフォニー・センター、東京サントリーホール、モスクワ・フィルハーモニー、フランスロワイモヨン、ベルリン・フィルハーモニー、ジュネーブArchipel Festival、台北の国家音楽ホールなどで作品が上演される。近年では、国家交響楽団や台北市立交響楽団、シカゴ交響楽団、プリンストン室内合唱団、シュトゥットガルト声楽アンサンブル、モスクワ室内管弦楽団と共演を重ねている。

衣装デザイン／陳劭彦 

英国ロンドンのセントラル・セントマーチンズ・ カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインを卒業。2009年にベルギーFashion Weekend Competitionの若手デザイナー部門で優勝。 2010年に自身のブランド「SHAO YEN」を立ち上げる。さまざまな素材を使った新しい服作りに挑戦することを得意としている。数々の国際的なファッション・ウィークに参加し、オランダ・ボイマンス・ヴァン・ベーニンゲン美術館のThe Future of Fashion is Now、フランス・カシスのLa Cite De La Dentelle Et De La Mode博物館の Mode in Taiwanなどで脚光を浴びる。また、アイスランド出身のシンガー、ビョークや蔡依林など多くのアーティストの衣装を手掛ける。2018年にはクラウドゲートと初コラボも実現。2019年には、鄭宗龍監督の『毛月亮』で衣装デザインを担当した。

雲門舞集（クラウド・ゲイト）

1973年、林懷民により創設。台湾初のプロのダンスカンパニー。中国語圏では初のコンテンポラリーダンスカンパニー。2020年、鄭宗龍が芸術監督に就任。

長年海外ツアーを行っており、その独特の動きとすばらしい振付け、絶妙なダンススキルで「世界一流のモダンダンスカンパニー」と称賛されている。2019年には、英国批評家協会賞（ナショナル・ダンス・アワード）で「傑出したカンパニー OUTSTANDING COMPANY」に選ばれた。定期的な新作発表や舞踊公演のほか、毎年台湾各地で大規模な野外公演を開催し、ダンスの楽しさを知って身近に感じてもらえるよう、親しみやすく活気のある方法で地域のコミュニティーに溶け込んでいる。