ベルギー アストラガル・ダンスカンパニー『キス&クライ』
10/25(土)14:3010/25(土)19:3010/26(日)14:30
私たちの人生から姿を消した人びとは、いったいどこへ行ったのだろうか…?
駅のホームで一人静かに列車の到着を待つ女性の脳裏に、そんな疑問がふと浮かびます。若き日の熱く儚い恋、運命によって引き裂かれた大切な人たち、そして別れを告げることもできず、いつしか顔さえ思い出せなくなってしまった人たち…記憶の引き出しが一つずつ開かれていくなかで、かつて手にしていた愛と喪失の記憶がよみがえります。
『キス&クライ』は、指先によるダンスと映像が織りなす感覚の旅です。舞台は夢のように小さな世界へと縮小され、童心に溢れ、詩情と哀愁を秘めた「夢の工場」のような空間が広がります。ダンサーは巧みな指の動きで、一人の女性の5つの人生の物語を演じます。ミニチュアのオブジェの配置、細かな指の振り付け、カメラアングルの切り替えを駆使することで、舞台とスクリーンを行き来する「リアルタイム・シネマ・シアター」を構築します。スクリーンに映し出される映像を鑑賞するだけでなく、その映像がどのようにリアルタイムで撮影され、一切の編集無しで、その場で上映される過程を見ることで、新たな舞台表現を体験します。
ベルギーのカンパニー・アストラガルは、2021年に台中国立歌劇院で『コールドブラッド』(Cold Blood)を上演し、大きな反響を呼びました。『キス&クライ』は2011年にベルギーのモンスでの初演以来、世界各地で300回以上上演され、18万人以上の観客を魅了。フランス語、英語、日本語など多くの言語で上演されており、現代のクロスオーバーな演劇における傑作作品です。今回の台湾公演では、金馬賞受賞俳優の莫子儀(モー・ズーイー)が中国語のナレーションを担当し、観客を優しく幻想的な記憶の旅へと誘います。
演出・振付/ミシェル・アンヌ・ドゥ・メイ Michèle Anne De Mey
ベルギー出身のダンサー、振付師。1989年にダンスカンパニー「アストラガル」を設立、ブリュッセルを拠点に30作を超えるオリジナルダンス作品を発表している。1990年の作品『英雄交響曲』(Sinfonia Eroïca)は数々の賞を受賞し、世界各地で上演された。2005年から2015年まで、ベルギーのシャルロアダンス(Charleroi-Danses)の共同芸術監督を務める。ダンスの多様性を追求し、親しみやすさ、物語性、深い感情、脱構築を創作の根幹としている。音楽と身体の動きをシンクロさせることに重点を置き、ワークショップや教育カリキュラムなどを通じて次世代のダンサーの育成にも力を注いでいる。
演出・脚本/ジャコ・ヴァン・ドルマル Jaco Van Dormael
国際的に高い評価を受けるベルギーの鬼才。80年代初頭にショートフィルムやドキュメンタリー映画を手掛けた。1991年に発表した初の長編映画『トト・ザ・ヒーロー』(Toto le Héros)では、一貫したユーモアと童心溢れる作風を確立し、第44回カンヌ国際映画祭カメラドール賞、フランスのセザール賞最優秀外国映画賞を受賞。2011年からは活動の場を舞台に移し、振付家でもある妻のドゥ・メイと共に『キス&クライ』(Kiss & Cry, 2011)、『コールドブラッド』(Cold Blood, 2015)、『アムール』(Amor, 2017)など、数々の人気作品を発表している。
原作/トーマス・グンヅィグ Thomas Gunzig
ベルギー文壇の現代の星と称され、その作品は多くの言語に翻訳されている。ブラックユーモアにあふれた作風で、映画や舞台の脚本も手掛けている。ドルマルとの共同作品『神様メール』(The Brand New Testament, 2015)は、第68回カンヌ国際映画祭「監督週間」に出品され、同年ベルリン国際映画祭最優秀脚本賞を受賞、さらに第73回ゴールデングローブ賞最優秀外国語映画賞と第41回セザール賞最優秀外国映画賞にもノミネートされた。
ベルギー アストラガル・ダンスカンパニー『キス&クライ』
演劇|身体劇場
※推奨対象年齢、7歳以上
※公演には、性的な暗示、喫煙、煙、暗転の演出が含まれます。予めご了承の上、ご入場ください