新古典舞団『カルミナ・ブラーナ』
11/19(土)14:3011/20(日)14:30
中世における修道院の詩歌集は、20世紀に旋律やリズムが誕生しました。『カルミナ・ブラーナ(Carmina Burana)』は、長年にわたり心を揺さぶる合唱と叙事詩のような交響曲として知られています。序曲は、映画やドラマで、神の到来や英雄の登場の雰囲気を醸し出す際によく用いられますが、実は聖職者も世俗的で、運命を嘆くようなギリシャ悲劇的内容もあることはあまり知られていません。
新古典舞団の創立者劉鳳学は、30年前、このドイツの作曲家カール・オルフ(Carl Orff)のカンタータに、東洋的な動きの要素を取り入れて新たな振付けを行いました。若い聖職者たちが信仰の過程で悪魔とやり取りする姿を描き、修道院の外で春を楽しんだり、少女の体に妄想を覚えたり、愛情への渇望に苦しんだり、酒池肉林の世界に溺れたりする様子を表現しました。最後は、迷いながらも苦しい気持ちを昇華させて聖母への崇拝と愛にまで高めていきつつも、再び運命を嘆いてしまいます。
劉鳳学の『カルミナ・ブラーナ』は、カール・オルフの「トータルシアター(Total Theatre)」の理念を体現し、振付師としての生涯において最も称賛される代表作の一つとなり、その年に「ミッション・インポッシブル」を成し遂げました。30年の歳月を経て、新古典舞団は、簡文彬をNTSOの指揮に招聘し、王典、黃莉錦、趙方豪の独唱、そして、台中芸術家合唱団と共に、このすばらしい作品を再び皆様にお届けします。
総監督・振付け/劉鳳学(リウ・フオンシュエ)
台湾初の舞踏博士、新古典舞団/唐楽舞創立者、財団法人新古典表演芸術基金会創設者、紅樹林劇場創設者、国立台湾師範大学名誉教授。中国現代舞を始めて提唱し、現代舞踏創作の発展、唐楽舞の再建、儒家舞踏及び先住民舞踏の4テーマの発展に尽力する。その作品は中国的色彩が濃いのが特徴で、教育部第一回国家文芸賞を受賞。他に、アメリカ舞踏研究委員会(CORD)、世界舞踏連盟(World Dance Alliance:WDA)、世界舞踏譜協会等からも表彰される。主な作品に、『Carmina Burana(カルミナ・ブラーナ)』、『黒洞』、『大漠孤煙直』、『黄河』等がある。
芸術監督/盧怡全(ルー・イーチュエン)
台北市立大学舞踏修士、新古典舞団芸術監督、化踊舞輯創設者。新古典精神を堅持する外、 「客家」に関する舞踏を創作するだけでなく、「客家」から世界客家文化に属する舞踏を創作する。
音楽指揮/簡文彬(ジエン・ウェンビン)
国家文芸賞受賞。現在、国家表演芸術センター衛武営国家芸術文化センター芸術監督。長年ヨーロッパに居住し、多くの歌劇を指揮した経験を有する。これまでオーストリア、オランダ、ドイツ及びスイス等の劇場に招聘され、指揮を行った。
テノール/王典(ワン・ディエン)
中国文化大学及びルクセンブルク国立音楽学校卒業。ドイツ、フランスの芸術歌曲の研鑽及び美声オペラ作品の発展に尽力。ドイツに十数年居住し、フランクフルト歌劇場において専属団員を務める。近年、台湾に帰国し、現在中国文化大学、国立海洋大学で教鞭をとっている。
ソプラノ/黄莉錦(ホアン・リージン)
現在、台湾で唯一フランスのパリ国立高等音楽・舞踊学校(Conservatoire National Supérieur de Musique et de Danse de Paris, CNSMD-Paris)の国家芸術専門資格(DFS)第一位を取得した声楽家。台湾で初めて、2008年専門演奏家資格(Diplôme de Perfectionnement et de Spécialisation)に合格した声楽家でもある。2018年より東呉大学音楽学科専任教員となる。
バリトン/趙方豪(ザオ・ファンハオ)
東海大楽音楽学科、国立台湾師範大学音楽学科、中国文化大学音楽学科で教鞭をとる。ドイツのフランツ・リスト・ヴァイマル音楽大学最高演奏家歌唱専攻を卒業。国立台湾師範大楽音楽学科卒業。2017-2020年にかけて何度もNSO、台中国家歌劇院主催の音楽講座に参加。
新古典舞団
1976年3月20日、劉鳳学博士は、かねてから抱いていた「化身体為春秋筆、写尽人間情與理(身体を筆とし、世の中の情と理を表現し尽くす)」という理念の下、舞踏文化のために献身的に努力する学生たちと共に台北市に「新古典舞団」を設立。「尊重伝統、創造現代(伝統を重んじ、現代を創造する)」をコンセプトに、文化的要素を掘り下げつつ、西洋芸術と融合させて、長い歴史に綴られた思いを舞踏に表現し、研究、創作及び演出を通して、多元的な風貌に仕上げる。劉鳳学の人生において、舞踏創作に捧げた歳月は六十年に及び、2019年より正式に教え子の盧怡全にそのバトンを渡し、振付けや創作の第一線から退いた後は執筆や研究に人生を捧げている。