ロメオ・カステルッチ『ベレニス』
11/14(金)20:0011/15(土)15:0011/16(日)15:00
ロメオ・カステルッチとイザベル・ユペール 息をのむような冷徹な美学
国際的な演劇界の巨匠、ロメオ・カステルッチが、17世紀フランスの劇作家ラシーヌによる古典悲劇『ベレニス』をもとに創作した哲学的でビジュアルに満ちた舞台作品で、フランスの伝説的な女優、イザベル・ユペールを主演に迎えました。
物語は、パレスチナの女王ベレニスとローマ皇帝ティトゥス、そしてその友人のアンティオキュスとの三角関係を描きます。ベレニスとティトゥスは深く愛し合っていますが、ローマの元老院と民衆の反対によって引き裂かれます。一方、アンティオキュスはベレニスの愛を得ることができず、死を選ぶことで、その苦しみから解放されようとします。
カステルッチは、彼の一貫したミニマルで冷徹な演出手法により、セリフや余分なストーリー展開をそぎ落とします。第一幕では政治と愛の衝突が描かれ、ティトゥスは皇帝の権力を象徴する壮大で空虚な舞台の上で、国家か愛のどちらを選ぶかという選択を迫られます。第二幕は、ベレニスの孤独と深い哀しみが描かれます。時の壁に封じ込められたようなベレニスが、映像とわずかの身体表現を通して、その感情を伝えます。第三幕は愛を得られなかったアンティオキュスの沈黙と死を求める姿が描かれます。
作品全体を貫くのは、音楽、音響、そして意図的に歪められたモノローグです。これらを通して、ベレニスがこの三角関係の中で抱える心理的な葛藤と引き裂かれる心が直接的に表現されます。観客は単に鑑賞するだけでなく、深く瞑想的な空間へと引き込まれ、「言葉にできない心の痛み」がもたらす重苦しい抑圧と緊張感を肌で感じることになるでしょう。
©Alex Majoli
©Alex Majoli
創作コンセプト&演出/ロメオ・カステルッチ Romeo Castellucci
イタリアのイマジズム舞台演出家。俳優、作家、ビジュアルアーティスト、衣装デザイナー、照明デザイナー、サウンドエンジニアなど、多くの顔を持つ。「劇場の魔術師」、「邪悪なアーティスト」とも称されている。作品は、古典芸術文学史からの引用を好み、非常に個性的で象徴的なビジュアルを得意とし、世界各国のアートフェスティバルで高い評価を得ている。台湾では当歌劇院において、2018年に『Democracy in America』、2023年に『BROS』、を上演し、いずれも大きな反響を呼んだ。
主要キャスト/イザベル・ユペール Isabelle Huppert
フランスの伝説的な映画女優。1971年のデビュー以来、100作を超える映画に出演し、うち20作がカンヌ映画祭のコンペティション部門に選出されている。フランスのセザール賞には計16回ノミネートされ、主演女優賞を2度受賞。さらに、カンヌ国際映画祭女優賞を2度、ヨーロッパ映画賞女優賞を2度、ヴェネツィア国際映画祭最優秀女優賞、ゴールデングローブ賞ドラマ部門最優秀女優賞など、数々の受賞歴を誇る。主な出演作品に『エル ELLE』、『未来よこんにちは L'Avenir』、『8人の女たち 8 femmes』、『ピアニスト La pianiste』などがある。台湾では2023年にアヴィニョン演劇祭×ティアゴ・ロドリゲス『桜の園 LA CERISAIE』に出演した。
ロメオ・カステルッチ『ベレニス』
演劇
上演時間は約90分。途中休憩時間はありません