シャウビューネ劇場『民衆の敵』
10/25(金)19:3010/26(土)15:0010/27(日)15:00
勇気と孤独が共存する正義の戦い、社会と既存の道徳観念に切り込む衝撃作
近代演劇の父と呼ばれるノルウェーのヘンリック・イプセン(Henrik Johan Ibsen)の同名の戯曲作品を、トーマス・オスターマイアー (Thomas Ostermeier)監督がリメイクしたこの作品は、ベルリンのシャウビューネ劇場によって2012年のアビニョン演劇祭で初めて上演され、その後、ドイツ、フランス、イギリス、スペインなど30を超える国と地域で上演されてきました。
ストーリーは、主人公で医師のストックマンが町の水源が工場の排水で汚染されていることに気づくところから始まります。彼は新聞でこれを公表し、役場に水道管の引き直しを求めようと考えますが、町長である兄は小さな町の収益を守るためストックマンを止めようとします。すると、ストックマンの考えを支持していたはずの市民や新聞社も態度を突然変え、揃って汚染の事実を隠蔽しようとします。それでも汚染の事実を公表するべきだという意志を曲げないストックマンは、ついには町の皆から敵だとみなされてしまいます。
イプセンの描く人物は生命力にあふれており、生き生きとした描写で人間性の複雑さを描き出しています。オスターマイアーは、挑戦と衝突の生々しい世界を舞台上で力強くリアルに表現しています。現代社会に投げかけられた残酷ともいえる問いかけに、登場人物とともに向き合い、改めて考え、成長する機会を与えてくれる作品です。
原作/ヘンリック・イプセン(Henrik Johan Ibsen, 1828-1906)
ノルウェー生まれの劇作家。作品が近代演劇の発展に多大な影響を与えたことから、近代演劇の父と称されている。当時の社会の水面下に潜む真実からインスピレーションを得た作品が多く、社会や家庭の矛盾を突く彼の「社会問題劇」は、目をそむけたくなるような残酷な真実を暴き出していることから、当時はその多くが不道徳な作品であるとみなされた。代表作に『人形の家』、『幽霊』、『民衆の敵』などがある。
演出/トーマス・オスターマイアー(Thomas Ostermeier)
ヨーロッパの演劇界で最も有名な演出家。1999年よりシャウビューネ劇場の芸術監督を務め、2000年からは現代戯曲フェスティバル(Festival International New Drama)を主催。近年の主な作品には『民衆の敵』(2012)、『リチャード三世』(2015)、『暴力の歴史』(2018)、『かもめ』(2023)などがある。2009年にフランス文化省より芸術文化勲章を授与され、2011年にはヴェネツィアビエンナーレ金獅子賞を受賞、2015年にはフランスで最高位の「コマンドール」を、また2018年にはドイツ連邦共和国功労勲章を授与されている。
演出/トーマス・オスターマイアーThomas Ostermeier
舞台デザイン/ヤン・パッペルバウムJan Pappelbaum
衣装デザイン/ニーナ・ヴェツェルNina Wetzel
作曲/マルテ・ベッケンバッハMalte Beckenbach、ダニエル・フライタークDaniel Freitag
ドラマトゥルク/フロリアン・ボルヒマイヤーFlorian Borchmeyer
照明デザイン/エリック・シュナイダーErich Schneider
背景画/カタリナ・ツィームケKatharina Ziemke
出演者/クリストフ・ガヴェンダChristoph Gawenda、コンラード・ジンガーKonrad Singer、ゲニヤ・リコワGenija Rykova、レナート・シューRenato Schuch、デイヴィット・ルーランドDavid Ruland、モーリッツ・ゴットヴァルトMoritz Gottwald、トーマス・バーディングThomas Bading
シャウビューネ劇場『民衆の敵』
演劇
約135分。途中休憩なし。途中入場もできませんので、予めご了承ください
ドイツ語/字幕:中国語、英語
600/900/1200/1500/1800/2000
※上演時間:約135分。途中休憩なし。途中入場もできませんので、予めご了承ください
※言語:ドイツ語/字幕:中国語、英語
※推奨対象年齢:12歳以上(喫煙シーンがあるため)