今までに作った最も美しい人形は、どんな人形でしょうか。「それは等身大の人形で、私の亡くなった伴侶です」

物語は、人形作家、阿牛の作業場から始まります。舞台には人形づくりのためのさまざまな物があります。阿牛の魔法のように巧みな人形制作では、一つひとつの物が分解されたり、再び組み合わされたりしながら、阿牛が夢にみた人形を作るために使われていきます。最愛の妻が人生から「退場」した後、阿牛は人形を作ることで、どうやって別れを告げればよいかを学びました。ですが、人形をつくっている過程で、うまくいかなかったり挫折したりするなか、頭を悩ませたり、周りに助けを求めたりするようになります。最後には、人形と心からの対話を行うことで、捨てがたい思いに穏やかに別れを告げ、完璧な人形をつくる創作の旅、そして、愛する人と別れを告げる心を癒す旅へと歩み出します。

拍拍手工作室は「別れ」と「思い」をテーマに据えており、『等身大の伴侶』では、人形作家の仕事場を再現しています。暮らしのなかのありふれたモノが、人形作家の巧みな技によって命を吹き込まれていきます。作品では、光と影に人形劇を組み合わせることにより、私達の心の中にある別れを告げがたい過去を魔法のように、そして温かく表現しています。

拍拍手工作室 －Papoah Studio

2020年、台中の潭子で団長の陳敬皓が旗揚げし、人形劇とフィジカルシアターの結合・応用を創作の重点としている。創作だけではなく、人形劇や演劇の指導、人形制作ワークショップなどの普及活動にも取り組んでいる。舞台芸術を通じて、世界のあらゆるシーンを応援し、社会の一人ひとりへの賞賛を表現することを目指している。