ジュゼッペ・ヴェルディ『リゴレット』
10/02(木)19:3010/03(金)19:3010/04(土)14:3010/05(日)14:30
フェリーニ風カメラワーク×写実的で精緻な舞台
『リゴレット』が1950年代イタリア・マフィアの血と涙に染まる
ヴェルディの『リゴレット』は、ロマン主義時代を代表する傑作オペラのひとつで、原作は文豪・ヴィクトル・ユーゴーの戯曲『王は愉しむ(Le roi s'amuse)』です。物語は、マントヴァ公爵、道化師リゴレット、そしてその娘ジルダ、この3人の複雑に絡み合う感情と、権力や運命、人間性とが交錯する中で織りなされる悲劇です。1851年の初演以来、心揺さぶられるドラマと忘れがたい旋律によって、世界中のオペラ舞台で愛され続けている不朽の名作です。
本作はオペラ・オーストラリア(Opera Australia)が1991年に初演した作品のリメイク版で、30年以上にわたり13回の再演を重ね、世界中の観客から愛されてきました。オーストラリアの著名な舞台演出家、故エライジャ・モシンスキー(Elijah Moshinsky)は、イタリア映画界の巨匠フェリーニの映画『甘い生活』に着想を得て、物語の舞台を16世紀の宮廷から1950年代のイタリアに移し、道徳が腐敗しきったマフィアと享楽的で自堕落な上流社会を描きだしました。さらに舞台・衣装デザインを手掛けたマイケル・イヤーガン(Michael Yeargan)は、まるでドールハウスのような空間を回転舞台に構築。映画的なカメラワークの手法で公爵とリゴレットの生活場面を巧みに切り替え、強烈な視覚的インパクトを生み出しています。
ヴェルディは音楽と物語を緊密に結びつけながら、登場人物の心理を綿密に描き出しています。劇中のアリア「慕わしき御名」、「女は気まぐれ」、「我らは皆同じ」など、その旋律は時を超えてもなお色褪せぬ魅力を放っています。本公演では、指揮者張尹芳のもと、国立台湾交響楽団(NTSO)と国内外の優れた声楽家たちが、運命が交錯し、愛と憎しみが渦巻く音楽の旅へと皆さまを誘います。
指揮/張尹芳(チャン・インファン)
台湾の中堅世代の指揮者の一人で、ジャンルをを超えた多様なスタイルの演奏に定評がある。2006年から2022年にかけて、国家交響楽団(NSO)のアシスタント・コンダクターおよびレジデント・コンダクターを務め、任期中、さまざまな教育や普及を目的とした年間公演を企画し、ダンス、人形劇、絵本、アニメーションなどの作品に音楽演奏を取り入れた公演行ってきた。そのクロスオーバーなアプローチは高く評価されており、張艾嘉(シルヴィア・チャン)や王耀慶(デヴィッド・ワン)とともに手掛けたミュージカル作品『真夏の夜の夢』、『ペール・ギュント』のほか、人気バンドSodagreen(蘇打緑)や国際的ユニット・イグデスマン&ジョー(Igudesman & Joo)とも多数共演している。
近年は台中国立歌劇院と衛武営国家芸術文化センターの招聘を受け、オペレッタ『メリー・ウィドウ』、音楽劇『複眼人』、室内楽版『タンホイザー』、そして『24Hシューベルト』などを指揮し、いずれも高い評価を得ている。また、日本のオーケストラ・アンサンブル金沢、香港のシティ・チェンバー・オーケストラ、台湾各地の交響楽団、国楽団、台北室内合唱団などとも共演。さらに、総統府音楽会や台南アートフェスティバルなどでも公演をおこなっている。
演出/エライジャ・モシンスキー Elijah Moshinsky(1946~2021)
オーストラリアの著名なオペラおよび舞台演出家。1975年に英国ロイヤル・オペラ・ハウスで演出家デビューを果たして以来、メトロポリタン歌劇場、ロイヤル・オペラ・ハウス、シドニー・オペラハウス(専属劇団:オペラ・オーストラリア)など、世界の主要な歌劇場で数多くの作品の演出を手掛けてきた。イタリアの作曲家ヴェルディの歌劇作品の演出を得意とし、その功績により英国演劇界の最高栄誉とさえるオリヴィエ賞の最優秀オペラ作品賞を三度受賞している。
国立台湾交響楽団(NTSO)
1945年に創設された台湾で最も歴史のある交響楽団。台中霧峰を拠点とし、ハード、ソフトの両面ともに充実している楽団で、幅広いジャンルの演奏を手掛ける。2019年より国際的に著名な水藍(ラン・シュイ)を首席客演指揮者に迎え、「演奏技術の向上、伝統の革新、教育の浸透、美学の推進」を使命とし、全国民の音楽的素養の向上に力を注いでいる。歴代の楽団長による基盤づくりのもと、多くの多彩な演奏経験を積み重ねており、これまでに数多くの国際的な楽団や著名な音楽家との共演を果たしている。
NTT×勇源 オペラ合唱団
2020年に台中国立歌劇院の公開オーディションを経て結成された合唱団。団員は、声楽指導、ダンスや演劇的身体表現、発声など、舞台でのパフォーマンスに必要な技術を磨いており、独唱、重唱などで歌劇院の年間上演作品に参加している。
ジュゼッペ・ヴェルディ『リゴレット』
オペラ
上演時間約165分、途中20分の休憩があります
週四、週五場:600/900/1200/1800/2400/3200/4200/5200
週六、週日場:900/1200/1800/2400/3200/4000/5000/6000
※上演時間約165分、途中20分の休憩があります
※推奨対象年齢、7歳以上
※プレトーク:10/2(木)、10/3(金) 18:30; 10/4(土)、10/5(日) 13:30
場所:中劇場 入場の際はプログラムをお持ちください。