『熱帯天使』猟女犯―元台湾特別志願兵の追想1940s
07/29(土)14:3007/30(日)14:30
作品紹介
「熱帯天使」は著名な作家、陳千武の小説集『猟女犯―元台湾特別志願兵の追想』にもとづいて、脚本家の林孟寰が歌劇院のレジデント・アーティストとしての2年の間に細部までじっくりと作り込んだ作品です。台湾の若者、林逸平は第二次世界大戦当時、日本軍に召集され、単身、南洋の戦場に赴きましたが、そこで思いがけず、慰安婦の頼莎琳と出会います。二人は身分や立場をめぐってぎくしゃくしますが、林逸平はふるさとのピーナッツ菓子で二人の距離を埋め、忘れがたく心に残る感情を育みます。軍隊では、林逸平は日本人士官の松永のもと軍国主義的な支配のなかで、自分自身を守り抜こうとあがきました。戦火は白熱してゆき、二人は戦争が終わった後も生き抜こうと約束します。そこへ思いがけずも、天皇が敗戦を宣言するラジオ放送が耳に届き、張り詰めていた心は瞬時に虚しいものに変わりました。
逃れることができない死の影、強権下におけるアイデンティティ、生に対するかすかな希望、戦火のなかで見える人間性の表情が、熱帯の島で運命、救済、受容をめぐる悲しい歌を紡ぎ出し、かれらは遠い空にまたたく南十字星を仰ぎ、涙を流しながら「生きている証明」を歌います。
主な出演者