テアトル・ド・ラントルベール『Anywhere─オイディプスの旅』
12/17(木)19:3012/19(土)14:3012/20(日)14:30
オイディプスの目が閉じられていき、私たちはもう、あの黒い涙を見ることはできない—『Anywhere─オイディプスの旅』序幕
フランスの劇団ラントルベールは、長年にわたり現代人形劇に力を入れています。ビジュアルアートを極限まで簡素化し、多元的なマルチメディアを組み合わせることを得意とし、観客が親しみやすく共感できる演劇体験を生み出します。『Anywhere─オイディプスの旅』は、ベルギーのフランス語作家アンリ・ボーショーの『オイディプスの旅(Oedipus on the Road)』にインスパイアされた作品です。ギリシャ神話では、テーバイのオイディプス王は神々の預言者に逆らい翻弄されて、自らの目を潰してしまい、故郷と王座を捨て、娘のアンティゴネに付き添われ流浪の旅に出ます。そして、命が尽きるとき、王の閉ざされた心は少しずつ晴れ、解放されていきます。
暗くて静かなステージに霧がかかり、ロウソクの火と影が揺れるなか、儀式が行われているような場面が展開されます。氷の人形はオイディプスの身体、娘のアンティゴネは役者が演じます。二人は互いに支え合いぶつかりながら最後の旅へと出発します。体温が氷の人形を固体から水へ、さらに霧へ、そして蒸発して昇華してしまいます。こうした詩的に表現される物理的変化や視覚的なインパクトは、主人公の心境の変化を反映しているかのようです。独自の演劇的アプローチにより、テキストへの豊かな想像力を開花させ、ギリシャの悲劇的英雄オイディプスの旅路における肉体的・心理的苦痛、恐怖、魂の救いのための自己開放の旅へと観客を導きます。
コンセプト、演出、舞台デザイン、出演/エリス ヴィネロン
専攻は造形美術で、演劇を履修し、2005年に、フランス国立高等人形劇芸術学院のディプロマを取得。横断的な演出に興味を持ち、さまざまな分野のアーティストとのコラボレーションを行い、そこで得た経験を創作に活かしながら、未知の分野での創作について問いかけを続けている。2016年に制作された『Anywhere─オイディプスの旅』では、水の三態変容を活かして、オイディプスという役に深みを持たせた。
操り人形師/エレーヌ・バ ロ ー
応用美術と演技のトレーニングを経て、2014年フランス国立高等人形劇芸術学院のディプロマを取得し、パフォーマンスの道に進んだ。 以来、役者やプロデューサーとして多くのカンパニーで活躍。 2009年よりテアトル・ド・ラントルベールで『Traversées』、『Impermanence』、『Anywhere─オイディプスの旅』、『L’Enfant』などの作品に出演してい
テアトル・ド・ラントルベール
2009年の設立。現代人形劇芸術の横断的視野の展開に力を注ぎ、直感的な感覚と無意識から生まれる芸術言語の展開に焦点を当てる。 創設者のエリス・ヴィネロンは、無音は有音よりも優れていると考え、瞬間的に消え去る物、重複する現象、儚い視覚的な特徴、音の震動、そして、描かれた文字は、存在する事実よりも観客と共鳴し想像を掻き立てると考える。
コンセプト、演出、舞台デザイン/エリス ヴィネロン
原作/アンリ・ボーショー『オイディプスの旅』
操り人形師/エレーヌ・バ ロ ー
照明デザイン/ティボー・ボワレーヴ、シリル・モンテイル
舞台・音響監督/コランタン・アベイユ
ドラマトゥルク/ブノワ・ヴルー
テアトル・ド・ラントルベール『Anywhere─オイディプスの旅』
人形劇
上演時間約50分、途中休憩はありません
法語で上演。中国語字幕付き
600
指定住宿
※入場は開演10分前から。開演後はご入場いただけません。
※推奨年齢15歳以上