唐美雲歌仔劇団 光華の君
10/23(土)14:3010/24(日)14:30
日本の古典文学『源氏物語』に着想を得た筋書きで、国家文学賞受賞者の唐美雲と京劇のプリンセス黄宇琳がそれぞれ演じる登場人物の「光華」と「藤夫人」は、『源氏物語』の光源氏と作者の紫式部を模しています。文才にあふれる藤夫人は、人生における感情の喪失を書き記すことを通じて、その筆先に光華の君という人物を投射します。あるとき、思いがけないことに、光華の君が自分自身の意識のなかに少しずつ姿を現し、彼女はそれを信じることはできないまま、思索にふけるようになり、対話をするようになっていきます。二人は「情」をめぐる問答を続けるのですが、すると、対照的な点が浮かび上がってきます。光華の君は生涯の間に数多くの女性と情の交わりを結ぼうとしますが、藤夫人が求めているのは一人の心を得るということだというのです。
『光華の君』の劇中において、登場人物の藤夫人は創作を通して、その筆のもとで登場人物の光華の君の境遇を変転させていきます。それは紫式部が描く光源氏とは対照的ですが、両者はどちらも、現実世界と虚構の小説の理不尽さを描写し、実生活に対する期待と幻想が裏切られたことによって作者に生まれた喪失感を投影しています。
唐美雲歌仔戲団
唐美雲歌仔戲団は「伝統の承継、新たな局面の創造」といった精神を堅持し、伝統戲曲芸術の最高峰に達するという目標の下、歌仔戲界の優秀な経験豊富な俳優を招聘するほか、新人の抜擢や台湾におけるクリエイティブな人材の育成に力を入れている。創団24年来、丁寧できめ細やかな歌仔戲の製作に努力を続けており、ジャンルを超えた作品の共同製作を進めているほか、台湾の歌仔戲をより精緻なものとしつつも昔ながらの歌仔戲も保つといった多元的な文化の美と意義の実現に尽力している。
高雄市国楽団
重みのある「伝統的」スタイルを内包しつつ「現代」の創出をも牽引するとの発展理念のもと、創立以来、民族音楽が持つ伝統的なエッセンスのなかに、最先端を行く国際的な広がりを兼ね備えることを目指している。近年は、台湾の風土に培われた民情や文化の豊かさ、美しい風景を題材に、広く新曲を求め創作を鼓舞している。出発点を地元に据えつつ、世界の音楽界にもアプローチし、欧米、アジア、オセアニアなど10カ国以上の国際舞台で伝統的な音楽を披露している。
芸術監督、プロデューサー/唐美雲
演出/戴君芳
脚本/陳健星
出演/唐美雲、王金桜、小咪、黄宇琳、李文勳、林芳儀、曽玫萍、唐美雲歌仔戲団
指揮/林天吉
楽団/高雄市国楽団