ミシェル・ヴァン・デル・アー『ブランク・アウト』
03/07(土)14:3003/08(日)14:30
現実とバーチャルが交錯。10年以上続いた家族の悲劇。赤い服の女性がとぎれとぎれに何年も前の悲しい物語を歌います。彼女は溺れて亡くなった幼い子供と別れてしまいます。記憶の中の世界がぼやけ崩れ始めると、映像の中の男性が女性の物語の空白を埋めます。過去の痛みは幽霊のようについて離れず、母と子の間を漂い、互いの運命を書き換えてしまいました。ですが、誰の話が事実なのでしょう。過去の傷ついた記憶を癒やしてくれるのは誰なのでしょう。
オランダのアーティスト、ミシェル・ファン・デル・アーは、南アフリカの女流詩人、イングリッド・ヨンカーの人生とその作品をテーマに明快なテンポのオペラ「ブランクアウト」を創作しました。舞台にはソプラノ歌手が一人、その前にはミニチュアセット、背景には3D映像が流れ物語を構成します。ソプラノ歌手は映像内の男性と自身の映像とで二重唱、三重唱を行います。実在の人物と映像が見事にリンクし、加えてオランダ室内合唱団の荘厳なコーラスと電子音楽の機械的なリズムが、シンプルで美しいハーモニーを奏でます。
謎に満ちたハイテクオペラ。ファン・デル・アーは、ほのめかしの達人[…]そして、ミクストメディアの達人であり名手。— New York Times
精密さ、独創性に驚かされる。現実とバーチャルが入り混じり忘れることのできない時を描く。世界は真実と非真実を分ける必要から解放される。─「ハフポスト」
『ブランク・アウト』はオペラの新境地を開拓した。
—オランダ誌「Noordhollands Dagblad」
作曲、コンセプト、演出/ミシェル・ヴァン・デル・アー
現代でもっとも優れたオランダの作曲家の一人。作品は、サウンドと映像を多く用い、ユニークで豊かな想像力、表現力、そして舞台の創造性を備えた国境を越えた作品が大きな注目を集めている。オランダのハーグ王立音楽院で録音及び作曲を修め、2002年にはニューヨークフィルムアカデミーにおいて映画監督コースを履修。2007年、リンカーン・センターの劇場ディレクターズ・ラボを受講。著名なオーケストラや音楽家から多数の創作依頼を受けたほか、数々の音楽祭の「コンポーザー・イン・レジデンス(CiR)」に就任。作品は、BBC交響楽団、アムステルダム・シンフォニエッタ、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、メルボルン交響楽団、フライブルク・バロック管弦楽団、バーデン=バーデン・フライブルクSWR交響楽団などで演奏されている。2011年より、オランダ・アムステルダムのロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の「コンポーザー・イン・レジデンス(CiR)」に就任。
作曲、歌詞、コンセプト、演出/ミシェル・ヴァン・デル・アー
ドラマトゥルク/ソフィ・モトリー
照明デザイン/フローリアン‧ガンズヴォート
振付け/トム・スチュアート
ソプラノ/キャスリーン・マンリー
ミュージックビデオ(MV)
指揮/クラス・ストック
バリトン/ロデリック・ウィリアムズ
コーラス/オランダ室内合唱団