『四月の雨』は、長い間、歴史に埋もれていた、台湾の往年の流行歌『四季紅』、『月夜愁』、『望春風』、『雨夜花』の背後に隠された愛と時代の記憶を掘り起こした作品です。台湾近代歌謡曲の父である鄧雨賢は、39歳という若さで世を去りましたが、その類稀なる音楽の才能により多くの不朽の名曲歌謡を残しました。オールミュージックシアターのミュージカル『四月の雨』は、「三人の“秀才”を輩出した」龍潭の名門客家一族出身である鄧雨賢を描いた作品で、伝統を打ち破った、モダンな「ダンス時代」を築いた頃から、伝説の歌手、純純と出会うまでの物語です。一人の情熱的な文学青年は、どのように台湾文化を変え、どのように日本の皇民化政策による圧迫と戦禍の日々を生き抜いたのでしょうか。
 

この作品は、鄧雨賢の血と涙の命の歌です。2007年に初演されると大きな反響を呼び、好評を博し、台湾文芸が注目されるきっかけとなりました。あれから12年の歳月を経て、多くの観客が待ちわびるなか、ようやく再演の運びとなりました。符宏征（フ・ホンジェン）監督のもと、江翊睿（ジャン・イールイ）、頼珮如（ライ・ペイルー）、朱海君（チュウ・ハイチュン）等の多くの素晴らしいミュージカル俳優が演じます。一新された舞台ビジュアルと舞台効果のもと、観客を1930年代の台湾にいざないます。

芸術監督、脚本／楊忠衡（ヤン・ジョンヘン）

広達コンピューターグループ「広芸基金会」CEO、「オールミュージックシアター」芸術監督。『音響論壇』副編集長、『音楽時代』創刊及び編集長、時周多媒体『新朝芸術』副編集長、楽賞教育基金会董事及びCEO、数位芸術基金会董事、ユネスコ国際演劇協会台湾センター董事を歴任。林克昌（リン・クーチャン）指揮、ニュー・ロシア管弦楽団によるチャイコフスキー交響曲のレコード制作を手掛け、第10回金曲奨（ゴールデン・メロディー・アワード）演奏部門最優秀アルバム賞、最優秀アルバム製作者賞を受賞。また、『隔壁親家（My Dear Next Door）』により第21回金曲奨最優秀作詞賞にノミネート。
 

作曲、編曲／冉天豪（ラン・ティエンハオ）

国立政治大学英語系卒業。作曲家。「天作之合劇場(Perfect Match Theatre)」芸術監督、台北愛楽合唱団、台湾原声童声合唱団等の特約編曲者。ミュージカル及び合唱曲の創作を行う。過去に、福爾摩沙（フォルモサ）合唱団、台北男声合唱団、T42 Singers等の編曲を手掛ける。
 

演出／符宏征（フ・ホンジェン）

マレーシア華人劇場演出家。国立芸術学院芸術修士（劇場芸術専攻）。専門は演出、フィジカルレスポンス指導。2006年、「動見体劇団（M.O.V.E. THEATRE）」を設立し芸術監督に就任。作品は、詩的な身体風景、多視点コラージュによる物語、凝縮されたミニマルな舞台言語、多層的な空間イメージなどで構成され、視覚的・音楽的に刺激的でシュールな作風を生み出している。現代史、神話、文化、社会を混在させた題材が多く、舞台に役者と観客とに内在する精神性を呼び込み、人間の命を深く掘り下げ表現することを得意とする。
 

音楽時代劇場（オールミュージックシアター）

2007年、芸術監督の楊忠衡が創設。オリジナルミュージカルの上演を主旨とする台湾初のパフォーマンス集団。台湾オリジナルのミュージカルの発展を設立主旨とし、革新、開拓、伝統と現代の融合、社会と文化に目を向ける精神を重視している。『四月望雨（四月の雨）』、『隔壁親家（My Dear Next Door）』、『渭水春風（The Impossible Times）』は、台湾ミュージカル三部曲となったほか、2013年には蒋勳の同名ベストセラー小説を舞台化したミュージカル『少年台湾』の舞台化を成功させて評価、注目される。前身は、1994年設立の「音楽時代雑誌と出版社」で、長年にわたり台湾の音楽シーンの向上に尽力し、台湾音楽界の将来を見据えた活動を続けており、台湾で長期的な影響力を持つ。