「冥界への旅—帝王の宴」は敦煌変文の「唐太宗入冥記」に着想を得たもので、ゴールデンメロディーアワード（金曲奨）最優秀脚本賞を受賞した劇作家・陳健星の独創的な着想で、女帝・武曌（武則天）の冥途への架空の旅が描かれます。武曌は、李氏家族の当主である唐太宗李世民、義母の長孫皇后、夫の唐高宗李治、そして息子の李賢と李弘のから問い詰められ、李唐に天下を返すよう迫られます。冥界で一家が再会した際、武曌は再び皇族間でさぐりあう様子を目にし、予期せぬことに触れてはならない家族のタブーが明らかになります。いくつもの身分を持つ彼女は、いかにして徹底的に李家の支配から離れ、主導権を取り戻すことができるのでしょうか。   

唐美雲歌仔戲団創立25周年記念の新作『冥遊記—帝王之宴（冥界への旅—帝王の宴）』は、国家文芸奨受賞者の唐美雲が通常とは違う旦行となり女帝武則天を、また、京劇の国光劇団からは老生の唐文華が演劇のジャンルを越えて参画し、唐太宗李世明を演じます。さらに、「永遠的娘子」の許秀年と「人間国宝」の小咪といった黄金の陣容で舞台は展開されます。宮廷での目まぐるしいまでの政治的混乱を描くのではなく、にぎやかな「家宴」で昔の女性が置かれていた実際の境遇を映し出ます。

唐美雲歌仔戲団

唐美雲歌仔戲団は「伝統の承継、新たな局面の創造」といった精神を堅持し、伝統戲曲芸術の最高峰に達するという目標の下、歌仔戲界の優秀な経験豊富な俳優を招聘するほか、新人の抜擢や台湾におけるクリエイティブな人材の育成に力を入れている。創団24年来、丁寧できめ細やかな歌仔戲の製作に努力を続けており、ジャンルを超えた作品の共同製作を進めているほか、台湾の歌仔戲をより精緻なものとしつつも昔ながらの歌仔戲も保つといった多元的な文化の美と意義の実現に尽力している。

「湾声楽団」（One Song Orchestra）

台湾の音楽と文化を発信し続ける唯一のオーケストラ。「台湾人による音楽」「台湾の素材による音楽」のみを演奏し、「クラシック音楽の台湾化、台湾音楽を古典に」を目標とするほか、「台湾の作品を演奏する」ことを楽団の使命とし、「より台湾に、より国際的に」という文化の力に応えている楽団。