河床劇団『忘れられたもの』
12/02(土)14:3012/03(日)14:30
1984年、地下の深いところで働く289人の炭鉱労働者が、一連の炭鉱事故で命を落としました。あれから40年近くがたち、台湾経済の奇跡を推進しながらも顧みられることのなかった彼らの人生は、多くの人たちの記憶から消え、山道には閉山した炭鉱があった痕跡が残るだけとなっています。それでも、山道の下にあるアリの巣のような坑道からは、過去からのささやきが聞こえてくるかのようで、坑道で命を落とした人たちのことを思い出させます。そこで彼らは暗闇のなかの微かな光を求めて、死力を尽くして限界に挑んだのです。
『忘れられたもの』は、モンタージュの手法をふんだんに用いた劇場イメージによって、サーカス、ソプラノ、ダンサーなどのエレメンツを融合させたもので、「生きた彫塑」や「流動する絵画」のように、観客は瞑想に没入し自分自身を見ているような感覚を味わいます。
これは、姿が見えない労働者へのレクイエムであり、命を犠牲にした人びとへのささやかな弔辞です。
芸術監督・演出・舞台設計/郭文泰(クレイグ・キンテロ)
河床劇団の芸術監督。2015 年、米国国務省フルブライト・プログラムの専門研究員に選ばれる。2019―2020 年、米国デューク大学客員研究員。現在は米国グリネル大学シアター・ダンス学科教授も務める。
演出/トリー・ベンド(Torry Bend)
デューク大学演劇学科准教授。パペット・アーティストで、舞台デザインも手掛ける。カリフォルニア芸術大学修士。マルチメディアと人形劇の組み合わせやダイヤログを得意とする。その人形劇は米国各地の人形劇フェスティバルで上演されている。
アシスタントディレクター/田孝慈(ティエン・シャオズ)
台南出身、台北在住。創作、パフォーマンス、教育活動に携わる。近年はもっぱら、時代や歴史、文化、環境などによって人々に形成され構築される感情や、身体を通して表現することの観察に注目している。
河床劇団
1998 年に発足したTAIWAN TOPのパフォーミングアートグループ。「イメージシアター」を創作理念として、ビジュアルアートとパフォーミングアートの間を往来する。劇評家・演出家の鴻鴻はかつて、河床劇団の有機的で高度に塑像性のある「潜在意識に訴える」劇場作品は、サミュエル・ベケットやデイヴィッド・リンチの優れた作品にも引けを取らないと評した。近年参加したアートフェスに、韓国のBeSeTo演劇祭、フランスのアヴィニョン・オフ演劇祭、ドイツのImaginale International Puppet Festival、 TIFA台湾国際芸術フェスティバル、衛武営アートフェスティバル、台北アートフェスティバル、台南アートフェスティバル、戲曲夢工場などがある。また、台北市立美術館、国立台湾美術館、高雄市立美術館、台北当代芸術館、誠品ギャラリーからの招待公演も行っている。
河床劇団『忘れられたもの』
演劇
公演の全長は約65分で、ハーフタイムはない
600/900/1200/1500/1800
※公演では、まぶしい光や煙、大きな音を使った演出を行う場合があります。ご留意の上、ご来場ください。