物語はそう遠くない未来に起こります。メフィスト社が世界を統治、監視しており、新設された健康部門が顧客に機械臓器の移植サービスを提供しています。スマートフォンをクリックするだけで、いつでもどこでも簡単に「アップグレード」でき、煩わしい体の部位を交換できるのです。『クリックで永遠の命を』は、レトロフューチャリズムのディストピアを描いた作品で、アルゴリズムが人類の行動や要望、そして思考をどのように形作るのかを暗喩し、ブラックユーモアの手法でデジタルへの依存に警鐘を鳴らします。

スペインの人形劇カンパニーTrukitrekは、人形劇、フィジカルシアターとプロジェクションアニメーションを組み合わせ、劇場と映画との間にあるハイブリッドな体験を創造しています。『クリックで永遠の命を』は、現代版ファウストともいえるSF寓話で、「人類はその魂をハードディスクに保存できるのか」「我々は自然から離れすぎてはいないか」を問いかけます。そして、この作品はポピュラー音楽や名作映画とも巧妙にリンクし、豊かで魅力的な世界観を創り出しています。

スペイン・人形劇カンパニーTrukitrek 
1988年に設立されたスペインの人形劇カンパニーTrukitrekは、人形劇と人間のパフォーマンスとの境界線を打ち破り、「人と人形の合体」という独自の劇場美学を発展させている。演出では言葉をほとんど用いず、パントマイムやオブジェを活用することで、音楽性豊かな流れるようなリズムとコマ割りマンガのような叙事構成の中に、不条理なコメディ状況を創り出している。これまでに世界40カ国以上で巡演を行っている。